エディット・ピアフの
シャンソンとともに綴られる
あるひとつの家族の愛の軌跡
■概要
家族とは、男とは、女とは、そして生命とは……。文豪モーリヤックの孫でゴダール映画の女優、アンヌ・ヴィアゼムスキーによる半自伝的小説。フランス有力書評誌『RTLリール』のグランプリ受賞作品。
■主な内容
母の遺品から発見された父の遺言状。それは愛人に対する愛情に満ち溢れたものだった……。
1992年、急死した母親の遺品から父親の遺言状を発見したことで、主人公アンヌの記憶は30年ほど前の幼い頃に遡っていく。
母親やお手伝いマドレーヌの、それぞれの恋人との愛とその結末、ガンにかかった父親の闘病生活が、当時のアンヌの瞳を通して描かれる。
思い出のシーンを彩ってくれるのは、いつもピアフのシャンソン……。
アンヌ・ヴィアゼムスキー
ベルリン生まれ。ノーベル賞作家のフランソワ・モーリヤックの孫娘。17歳の時に、ブレッソン監督の『バルタザールどこへいく』で映画女優としてデビュー。さらにゴダール監督の『中国女』で主役に起用され、ゴダールと結婚(後に離婚)。以降、パゾリーニ監督の『テオレマ』など、数々の映画に出演する。作家としては、1988年に処女作『育ちのいい娘たち』を発表して注目される。4作目の『カニーヌ』は、リセアン・ゴンクール賞を受賞している。本書は5作目にあたり、発表当初より大きな評判を呼んで、ベストセラーとなった。
中井多津夫
東京大学文学部仏文科卒。フランス演劇専攻、脚本家。1991~1998年、東京藝術大学で演劇論の講師を務める。劇団四季上演台本「愛の讃歌――エディット・ピアフの生涯」を執筆。放送作品「もがりぶえ」(イタリア放送協会賞)他多数。訳書に、シムノン『妻は二度死ぬ』、エディット・ピアフ自伝『わが愛の讃歌』などがある。