■本書の概要
マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリード、ロサンゼルス・ギャラクシー、ACミラン、パリ・サンジェルマン、そしてイングランド代表と、数々のユニフォームに身を包んで活躍し大成功をおさめたベッカムは、昨年5月、20年におよぶ選手生活に幕を下ろした。インググランド代表として115の国際試合出場のうち58試合でキャプテンを務めたベッカムは、GK以外のフィールドプレイヤーとして最多出場記録を保持している。
僕は、もう他に自伝を書こうとは思わない。その代わりに、自分自身のサッカー人生で見てきたことや、その時々に感じたことを書いておきたいと思ったんだ。
この言葉から始まる本書は、世界中のファンに歓喜をもたらし(時に落胆させた)ベッカムのサッカー人生を、自身のお気に入りの写真150枚余りとともに振り返る最後の自伝。
■主な写真
・1998年フランスW杯、アルゼンチン代表戦でレッドカードを受ける
・1998-99シーズンのチャンピオンズリーグでトロフィーを掲げるベッカム
・2002年日韓W杯、アルゼンチン代表戦でPKを決める
・2001年メキシコ戦/親善試合でのベッカムヘアー
・レアル・マドリード時代、チームメイトと5人で…他
■訳者あとがき
ディビッド・ベッカム。サッカー選手としての“最後”の自伝だ。2013年5月、パリでサッカー人生に終止符を打った。
記録よりも記憶に残る選手だった。日本でもソフトモヒカンの「ベッカムヘアー」が流行った。本人が「奇妙」と語っているように、イケメン選手だったベッカムはサッカー“以外”の生活にも注目が集まり、サッカーよりも鏡の前に立つことが好きなのでは……といったような批判を浴び続けた。だが、選手としても一流だった。イングランド代表では1998年のW杯のアルゼンチン戦で“若気の至り”でレッドカードをもらい「戦犯」となった。だが、キャプテンマークを巻いて臨んだ2002年W杯最終予選ではフリーキックを決めてチームをW杯に導き、本大会のアルゼンチン戦ではPKを決めてリベンジを果たした。クラブチームでも結果を残し続けた。10代でマンチェスター・ユナイテッドにおいてプロデビューを果たし、イングランドのクラブ史上初となる、1シーズンでリーグ戦、FAカップ、チャンピオンズリーグ「3冠」を達成。レアル・マドリード、LAギャラクシー、ACミラン、PSGと世界有数のクラブでのプレーを続けた。セレブリティーな一面を強調されがちだが、一人の選手としては真摯にサッカーに向き合ってきた。どんな思いや精神状態だったのか、素直に誠実に語っている。正確性から“インチ・パーフェクト”とも称されたキックを、どうやって身につけたのかもよくわかる。その時々における彼の声に耳を傾けてほしい。等身大のベッカムを知ることができ、サッカー選手としての彼をより好きになる。そして、彼とともに、栄光と挫折を繰り返した20年に渡るサッカーシーンをふり返れば、彼が一番大事にしていた信条や思いに触れることができよう。