あなたにとって、“そっと呼びたくなる”名前は何ですか?
まっすぐな愛、耐える愛、傷ついた愛――。
愛には、悲しみと美しさが同居している。誰かを深く愛する時、幸福感に満たされる一方で、ふとした瞬間に不安や虚無感に襲われることも。そんなとき、心の奥から浮かんでくる名前とは――。先輩との関係に悩んでいる30代の女性が、偶然出会った年下の男性から情熱的な愛を向けられ、2人の男性の間で揺れ動いていく。女性の心を赤裸々に綴った大人のための恋愛小説です。
3人の男女が織りなす「大人の愛」
20代、30代、そして40代の、それぞれの登場人物が示す、純粋で切ない愛に胸を締めつけられます。性格も年齢も育った環境も異なる3人が、人生にどう向き合っていくかという姿が赤裸々に描かれ、「人を愛しながら生きていく」ということを深く考えさせられます。一方で、登場人物たちは「建築」や「造園」といった専門的な仕事に向き合いながら、自分の信念や倫理観と誠実に向き合い、誰かを想うように働いていて、その姿を通じて、「働くことと愛することの間にある深いつながり」が自然と浮かび上がってきます。住んでいる家やお気に入りのインテリア、育てている植物など、ライフスタイルの細部が丁寧に描かれているのもイム・キョンソン作品の魅力のひとつです。日々の営みを通して、何を大切にして生きていくかという、もうひとつのテーマにもご注目ください。
韓国の女性たちから絶大な支持を得るベストセラー作家、イム・キョンソンの真骨頂たる恋愛小説。
エッセイ『態度について』『リスボン日和 十歳の娘と十歳だった私が歩くやさしいまち(原題:やさしい救い)』や、小説『ホテル物語 グラフホテルと5つの出来事』など、毎年1作以上、これまでに21作品を世に送り出している韓国のベストセラー作家イム・キョンソン。ぱらりBOOKSの邦訳第3弾は、イム・キョンソンワールドの真骨頂ともいえる恋愛小説『そっと呼ぶ名前』の登場です。
著者:イム キョンソン(林慶琁)
韓国ソウルに生まれ、横浜、リスボン、サンパウロ、大阪、ニューヨーク、東京で成長、10年あまりの広告会社勤務等を経て、2005年から専業として執筆活動。著書にエッセイ『母さんと恋をする時』(2012)、『私という女性』(2013)、『態度について』(2015)、『どこまでも個人的な』(2015)、『自由であること』(2017)、『京都に行ってきました』(2017)、『私のままで生きること』(2023)、小説『ある日、彼女たちが』(2011)、『覚えていて』(2014)、『私の男性』(2016)、『そばに残るひと』(2018)、『そっと呼ぶ名前』(2020)、『ホテル物語』(2022)、『言い残した言葉』(2024)ほか多数。歌手でもあり作家でもあるヨジョとは『女性として生きる私たちに│ヨジョとイム・キョンソンの交換日記│』(共著:2019)も刊行(NaverAudioclipで「ヨジョとイム・キョンソンの交換日記」を配信)。邦訳に『村上春樹のせいで│どこまでも自分のスタイルで生きていくこと│』(渡辺奈緒子訳:2020)がある。独立した個としてそれぞれが誠実に、自分らしく生きることをテーマにしたエッセイを多く書き、小説ではもっとも大切な価値観として「愛」を見据え、恋愛を主に扱う。
訳者:すんみ(スンミ)
翻訳家。早稲田大学文化構想学部卒業、同大学大学院文学研究科修士課程修了。訳書にチョン・セラン『屋上で会いましょう』『地球でハナだけ』『八重歯が見たい』(以上、亜紀書房)、キム・グミ『あまりにも真昼の恋愛』『敬愛の心』(以上、晶文社)、ウン・ソホル他『5番レーン』(鈴木出版)、キム・サングン『星をつるよる』(パイ インターナショナル)、ユン・ウンジュ他『女の子だから、男の子だからをなくす本』(エトセトラブックス)など、共訳書にイ・ミンギョン『私たちには言葉が必要だ』(タバブックス)、チョ・ナムジュ『彼女の名前は』『私たちが記したもの』(以上、筑摩書房)などがある。



