世紀の大スター、マルチェッロ・マストロヤンニ。
彼と人生をともにしてきた監督や恋人、家族との愛と絆が本人によって語られる。
■概要
イタリアを代表する名優マルチェッロ・マストロヤンニの生涯を、本人のインタビューや彼の人生に関わった人物たちの証言を交えて、イタリアで最も尊敬されるジャーナリスト、エンツォ・ビアージが描き下ろし。マストロヤンニの素晴らしき俳優人生とは?
■主な内容
●自伝のための率直な覚え書き
●第一章 マルチェッロは戦争に行かない
アカデミー賞授賞式でのグレゴリー・ペック「マストロヤンニにはとてもかないませんよ」/妻フローラ「もちろんまた結婚するわ」/ミュージカル『チャオ・ルディ』の思い出/戦時中の冒険/シルヴァーナ・マンガノとの淡い恋/ガズマンと共演女優談義/ぼくは「ラテン・ラヴァー」なんかじゃない
1924年にイタリア北部で生まれたマストロヤンニが、俳優人生を振り返る。友であり数々の作品でコンビを組んできたフェデリコ・フェリーニ、付き合った恋人や妻フローラが、マストロヤンニとの交流エピソードを語る。さらに大学時代に勃発した第二次世界大戦での兵役を逃れるための涙ぐましい努力やヴェネチアでの隠遁生活などが詳細に描かれている。
●第二章 長いゲーム
「先生」ヴィスコンティと「級友」フェリーニとの決定的な出会い/ヴィスコンティは舞台に立たせて、あらかたのことを教えてくれた/フェリーニとの「まぎれもない学生時代の友情」と「どこにもない共犯関係」/リッツォーリと「愛しき芸術家君」とその映画/フェリーニの最期「あれも、すっかりショーだった」
マストロヤンニの俳優生活を語る中で、最も重要な出会いだったルキノ・ヴィスコンティとフェデリコ・フェリーニ。彼らとの出会い、映画『甘い生活』や『8 1/2』の制作舞台裏、マストロヤンニとフェリーニの友情物語が綴られる。
●第三章 出会いと別れ
一番長く続いた女性はソフィア・ローレン/『イタリア式離婚狂想曲』秘話/政治家、ベルリングェルを尊敬/占いや賭け事には無関心/アントニオーニは優れた監督だが……/ハリウッドはまるで好きになれない/フェイ・ダナウェイ「初めて結婚を夢見た男ね」/カトリーヌ・ドヌーヴ「深く知りあった人間は、彼を忘れることなんてできないわ」
多くの映画で共演してきたソフィア・ローレン、自分が愛した女性たち、尊敬する政治家、かつての重大な過ち、ミケランジェロ・アントニオーニとの交流、ハリウッドへの思い、趣味など、マストロヤンニの人生に関わった人物や思い出について本人が語る。
●訳者あとがき
●フィルモグラフィー
マルチェッロ・マストロヤンニ
1924年9月28日、イタリア生まれ。第2次世界大戦後、ルキノ・ヴィスコンティ監督に見い出され『お気に召すまま』『欲望という名の電車』などの舞台で主役に抜擢される。48年頃から本格的に映画に出始め、ソフィア・ローレンとコンビを組んだ喜劇路線『バストで勝負』(56年)『昨日・今日・明日』(63年)などが大ヒット。60年フェリーニ監督の『甘い人生』で世界的スターとなる。出演映画総数は160本以上。1996年12月19日、すい臓ガンによりパリの自宅で死亡。
エンツォ・ビアージ
1920年ボローニャ近郊のリッツァーノ・イン・ベルヴェデーレ生まれ。イタリアを代表するジャーナリストであり、作家。邦訳された著書に『新イタリア事情』、『きみ、知ってるかい』、『エンツォ・ビアージのある一年』、『最新イタリア事情』がある。
岡本太郎(おかもと・たろう)
1960年東京生まれ。東京大学イタリア文学科修士課程修了。訳書にマルコ・ロドリ著『のらくらの楽園』、サンドロ・ヴェロネージ著『この歓びの列車はどこへ向かう』、ミケランジェロ・アントニオーニ著『愛のめぐりあい』がある。