シリーズ連載
私は東京・神保町で韓国の本を扱う本屋「チェッコリ」を2015年7月から営んでいます。ある日、作家のイム・キョンソンさんがふらりとお店に立ち寄りました。
彼女はテレビ番組の司会を務め、いくつもの新聞で連載を持ち、韓国の若い女性たちの間で絶大な人気を誇る作家です。チェッコリでも、キョンソンさんの本は大変人気がありました。
私たちは初めて会ったにもかかわらず、まるで昔から知り合いだったかのように挨拶を交わしました。 彼女の魅力は、初対面でも何度も会ってきたような親しみを感じさせるところにあります。 そして彼女がぱっと笑顔を見せると、まるで一本の桜の木がそこに立っているかのように、周囲が一瞬にして明るくなるのです。
キョンソンさんは、変わらず歩み続ける人です。
彼女は20年間、毎年一冊以上の本を出し続けてきました。
自分が書きたい物語、そして自分にしか綴れない言葉を紡ぎ続ける作家です。
日本語圏の読者にも、彼女の作品を通じてその魅力を届けたいです。
金承福(キム・スンボク)
ソウル芸術大学文芸創作科(現代詩専攻)を卒業後、1991年に来日。日本大学芸術学部文芸科を卒業し、広告代理店勤務、Web制作会社社長を経て2007年に出版社クオンを設立。「新しい韓国の文学シリーズ」を立ち上げ、1冊目としてハン・ガンの『菜食主義者』を刊行した。
2015年に韓国文化の拠点づくりを目指し、韓国語書籍・韓国関連本を専門に扱うブックカフェ「CHEKCCORI (チェッコリ)」を東京・神保町にオープン。K-BOOK振興会の専務理事も務め、著作権エージェント、翻訳家の育成、年に一度の韓国の本のおまつり「K-BOOKフェスティバル」を開催するなど韓国の本の魅力を広める伝道師として幅広く活躍している。
連載リスト